コウ先生コラム

ホルモン補充法が不妊体質をつくる

最初に誤解のないように断っておく。
元々ホルモンバランスが乱れていれば、それを整えることは必要。
これから述べることは、ホルモンバランスの正常な人が、より妊娠しやすくなることを目的におこなうホルモン補充のことだよ。

なぜ正常な患者にホルモン補充をおこなうの?
誰もが同じ答えを言うかもしれないね。
「より妊娠しやすくするため!」だよね。
ホルモンによって、質のよい卵子がたくさんできる。
より着床しやすい子宮環境がつくられる。
これらはカン違いなんだけど・・・。

そもそもホルモンってなんだろう?
ホルモンを卵子や子宮の栄養剤のように思っている人がたくさんいる。
でも、残念ながらホルモンにそんな能力はない。
ホルモンは単なる伝達物質。

ホルモンはメッセンジャー
量が増えても脳からの指示を伝える配達人が増えるだけ

脳が性細胞に指示を出すときのメッセンジャー。
それがホルモンの役割だ。

脳は、ホルモンという物質を使って卵巣や子宮が何をすべきかの指示を出す。
その指示に従って卵巣や子宮はそれぞれの仕事をおこなう。
女性ホルモンは卵子の栄養素ではない。とても大事なところだよ。
ホルモンの量が増えても卵子の質がよくなるわけではない。
強制的にホルモンを加えると、マイナスの影響さえ出てしまうんだ。

元々、ホルモンは卵巣で使われるよりも少し多くつくられる。
そして余ったホルモン量から、どのくらい新しく分泌するかを調節している。
そこに必要以上のホルモンを大量に投与したらどうなると思う?
カラダは新しいホルモンを生成しなくなる。
すると、更年期症状が起こったり、30代前半で閉経してしまう人もいる。
ホルモン補充とは、脳が卵巣にもっと働くよう拡声器で怒鳴り散らす状態だ。
自然状態では1個しか育たないはずの卵胞が、数個、数十個と育つ。
今度は増えすぎた卵胞の数を補うだけの栄養が不足する。
1個1個の卵子は栄養不足になる。

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