コウ先生コラム

病院選びより培養室選び

まず卵管を取ってしまったり、卵管が詰まっている人は体外受精をすべきだ。
また、旦那さんの精子が極端に少ない場合も精子を1匹ずつ卵子に入れていく顕微授精という道があるよ。
そして、治療費を払ってでも早く妊娠したい人も体外受精の適応に入る。
なぜなら、いままで妊娠できなかった理由がカラダのどこかにあるからね。
原因究明に時間を費やすより、現代医療の力を借りてしまおう。
1日でも早く赤ちゃんと出会えたほうが幸せでしょ?

また、体外受精の成功率は胚培養士にかかってると言っても過言ではないよ。
なぜならほぼすべての工程を胚培養士がおこなうからね。
こう言うと、たくさん広告を出していたり、有名なドクターのいる病院がよさそうに思える。

でも、大きな病院だから優秀な人材がいるとはかぎらないから。
広告の大きさや医者の知名度は関係ない。
体外受精の病院選びは培養室選びだと考えるといいよ。

じゃあ、よい培養室をどう選べばいいのか?

よい培養室選びとは、よい胚培養士選びにほかならないんだ。
技術力を基準にすると、見分け方のポイントは2つある。

1.無刺激あるいは低刺激による採卵を実施している病院

体外受精をやる前には、ホルモン剤で卵胞を刺激して卵子の数を増やすことが多い。たくさん採卵できたほうが、培養して育つ確率が高くなると思われているからね。

でもどのような治療段階でも、ホルモン剤の使用は控えたいわけだ。
病院によっては、母体への負担を考えてホルモン剤を使用しない無刺激、もしくは使用しても少量の低刺激で体外受精をおこなっている。
この方法を採用できる病院は、よい胚培養士がいて、1個〜2個の採卵でも培養できる実力があるってことになる。

2.急速凍結法を導入している病院

聞き慣れない言葉かもしれないけど、ステップアップ治療の最終段階に位置しているのが凍結胚移植だ。
体外受精では、受精させた卵をすべて子宮に戻すわけじゃないんだ。必要に応じて受精卵を凍結することがある。液体窒素で凍結させて、保存しておけば、次の生理周期や2人目の赤ちゃんが欲しいときに使用できるよね。
そのために凍結させる方法は、かかる時間によって大きく2つに分かれる。

機械を使ってゆっくりおこなうのが緩慢凍結法。
胚培養士がすばやくおこなうのが急速凍結法。

これまでは緩慢凍結法が主流だったんだけど、急速凍結法が開発されてから、解凍後の快復率もほぼ100パーセントと格段に上がったんだ。
ただ、これには卵を扱う感覚がよくて手先が器用な胚培養士が必要なんだ。
導入していない病院も結構たくさんある。

ということで、無刺激法(低刺激法)と急速凍結法の2つを押さえている病院はよい培養室をもっていると言える。
どれか一方だけでなく、両方がポイントね。
それから言うまでもなくステップアップ治療を実施していない病院だよ。
あっ、ポイントが3つになっちゃったね。

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