妊活においては、赤ちゃん以前に、産む本人の精神状態が良好であることも大事な要素です。
その為、夫婦間、周りとの良好なコミュニケーションを築くことは、妊娠への近道と言えるでしょう。
ここでは、不妊治療のプレッシャーを泣きながら夫に訴えた事、妊活友達の重要性と必要性について紹介します。
夫婦のコミュニケーション不足
フルタイムで働いて1年。初めは「社会に必要とされている!」と感じ、外で働けることが嬉しくて仕方ありませんでした。
ところが当時保育園に預けられていた息子はまだ2歳。当然ママに甘えたい盛りですし、色んな病気にもかかります。
理解のある職場でしたが、人員繰りが厳しいこともわかっていましたし、休み辛いことから、当日残業することもありました。
でも息子にとってママは私だけ。そんなモヤモヤを夫に相談すると「退職してもらえるとありがたい」との返答が!
私の心の中ではきっとだいぶ前から答えは出ていたのだと思うけれど、この一言で専業ママに戻る決心がつきました。
でも時を同じくして、息子が私のお腹に向かって言うようになったのです。
「ねえママ、赤ちゃんはいつママのお腹に来てくれるの?赤ちゃんの種、どこかに落ちていないかなあ」と。
びっくりしました。確かに保育園のお友達は弟や妹がいる子が多く、自分にも、と思っただけかもしれません。
でも言い方があまりに具体的だったので、内心「え、もしかして妊娠してるの、私!?」と思ってしまったくらいです(心当たりはないのに、です 笑)。
その後も、息子のそうした発言があまりに続くので、夫に笑い話のつもりで話してみると、「君は子どもは1人でいいと思っているかもしれないけど、僕はもう1人欲しい。できれば今すぐにでも」と、真剣な表情で言われてしまい…夫婦のコミュニケーションがいかに不足していたかを思い知らされ、猛反省しました。
そこで私も「もちろん赤ちゃんを望んでいるけれど、これまでは仕事ばかりで具体的にいつ頃赤ちゃんを授かりたいかは考えていなかった、でも今では、時間も心の余裕もできたので、トライしてみたい」ということを正直に話したのです。
こうして我が家の2人目のベビー待ちが始まりました。
不妊治療専門病院デビュー
幸運にも長男は結婚してすぐに自然妊娠したのですが、それでも健康のためにと、独身の頃から続けていた基礎体温はとても参考になりました。
今回もとりあえず、基礎体温を計ればおおよそ排卵期の目安はつけられるだろうと、軽い気持ちで始めましたが…大誤算でした。
低温期と高温期には辛うじて分かれていましたが、その差はほとんどなく、毎日の体温も変動が大きく、グラフはギザギザ状態。
基礎体温から分かること
基礎体温を再開して初めて気づいたのですが、以前より1週間ほど周期が短くなっていたのです。
第1子を授かるまではどんなにタフな生活をしていても月経は順調だったのに…とショックでしたが、市販の排卵検査薬も使ってトライしてみることにしました。
何周期かトライしましたが実らず、そればかりか高温期に入ると強烈な吐き気や下腹部痛に悩まされるように。
不安になり、年1回の子宮頸がんの検診と併せて婦人科を受診しました。
ところが…基礎体温表を持参して医師に症状を訴えたところ、
「うーん、まだ若いからそのうちに妊娠できるよ!
半年経ってもできなければ不妊治療専門病院行ってみたら?吐き気とかはPMS(月経前症候群)だから我慢するしかないね、
ピルが1番効くけど、妊娠希望なら飲めないしね!」
とアッサリ言われてしまい、トボトボと帰宅するはめに。
異常がないと言われて嬉しいはずなのに、「内診もエコーもなかったし、本当に安心していいのだろうか…32歳だけど、本当に『若い』と思っていていいのかな…」と不安が募ったことを覚えています。
とはいえ、それ以上自分では何もできることはないと思っていたので、その後も2度3度と月経を迎える日々を送っていました。
でも…相変わらずの夫や息子からの「赤ちゃんを」の声。
悪気がないのはわかっていても、特に夫からの「赤ちゃんコール」は、何だか自分が役立たずと言われているようで情けなく、申し訳なく…本当に辛かったです。
そのうち、どんどん追い詰められていく私を見かねたのか、「不妊治療専門病院に行ってみたいんだけど」と相談した私に、夫が「行ったほうがいいんじゃない?」と一言。
不妊治療を決断
夫に背中を押してもらって、妊活5ヶ月目で不妊治療専門病院への受診を決めました。
月経が始まると同時に予約、4日目に受診しました。専門病院というだけあって、全てが予め決められたスケジュールに沿ってスピーディーに進んでいきます。
まず、診察前に血液検査で、E2(卵胞ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)といった女性ホルモンの値を調べたあと、卵胞の育ち具合や子宮・卵巣の異常の有無を調べるため、膣エコーなどを行います。
検査の結果、子宮や卵巣の状態は正常だけど、FSHの値が異常に高く、閉経間近の状態だと言われました。
FSHとは、脳下垂体から分泌されるホルモンで、低温期に卵巣を刺激して卵胞を成熟させるという働きを持つものです。
FSH値が高いと、卵巣機能が落ちてきていて、しっかり分泌させないと卵胞も育たないという事でした。つまり、月経が順調に来ても無排卵状態になり得るということです。
排卵しなければ妊娠は望めません。帰り際、検査結果の紙きれを手渡され、医師からは
「あなたの場合、あまり時間の猶予がないかもしれない。とりあえず一通りの初期検査はするけど、ご主人ともこの先どうするかよく話し合っておいて」
と言われ、病院を後にしました。
検査スケジュールがタイト
検査スケジュールがタイトな為、ゆっくり夫と話をする間もなく、1週間もしないうちに再度受診し、今度は通水検査を受けました。
子宮口からカテーテルで生理食塩水を注入し、卵管の詰まりがないかを調べる検査で、詰まりがあると多少の痛みを伴うと言われています。
私は幸い詰まりがなく、医師のスキルもあったのでしょうが、全く不快感はなく終了。
次の精液検査では、自宅や病院の採精室で採取した精液を顕微鏡で観察し、異常の有無を調べるのですが、我が家では夫が抵抗感を示しました。
近年、不妊治療がかなり知られるようになってきたとはいえ、やはりまだまだ「不妊治療=女性が行うもの」という考えを持つ人もいるのではないでしょうか。
私の夫もそうでした。以前「病院に行ったら?」と言ってくれたものの、その言葉には「自分も一緒に治療をするよ」とか「一緒に受診して医師の話を聴くよ」という意味は含まれていなかったのです。
夫はこの後も1度も一緒に受診することはありませんでしたが、同じような境遇の方がいれば、夫婦やカップルで、1度だけでも受診されることをお勧めします。
不妊治療やそれに先立つ検査の類に、男性側の協力は不可欠です。
2人で一緒に治療に臨むのですから、やはり2人で直接医師から話を聴いて、気持ちを1つにしておいたほうが、より良い結果につながると思うのです。
夫婦間のコミュニケーション
精液検査では、素人の私なりに懸命に検査の重要性を説明し、夫が納得してくれたので、無事検査はできたのですが、結果は「ギリギリアウト(医師)」。
運動率や奇形率が基準値を下回っていました。
夫にはなるべくプレッシャーにならないよう、やんわりとサプリメントを飲むことや自転車の使用を控えること(過度な使用はサドルが精巣にダメージを与えることがあるため)を提案してみましたが、「そんなこと関係ないでしょ」と流され、私の感情が爆発。
戸惑う夫の横で、これまでどれほど私がプレッシャーを感じてきたかを泣きながら訴えることになってしまいました。
不妊治療をするうえで夫婦間のコミュニケーションはとても大切だと、改めて痛感させられる夜になりましたが、これを機に夫もサプリメントを飲むようになったり、私の月経周期を気にかけたり、受診後は「どうだった?今日はどんな検査したんだっけ?」などと訊いてくれるようになりました。
その後行ったヒューナーテスト(排卵日間際に性交し、翌日受診時に頸管粘液を顕微鏡で見て精子の状態を確認する検査)の結果が良かったこともあり、以降は気持ちの温度差を大きく感じることなく、日々を過ごしていけた気がします。
また、投薬治療などに入ることはせず、排卵日を血液検査とエコーで予測してもらって性交をする、タイミング法を2回行い、妊娠しました。ここまで、妊活を始めて7ヶ月目の期間でした。
長く不妊治療をされている方からすると、比較的短期間かもしれません。
でも、私の卵巣の残り時間を考えると、ギリギリのタイミングだったなあと思っています(医師には、妊娠発覚前の最後の診察で、人工授精ではなく、体外受精を早く決断するよう促されていました)。
今後の予定
その後、無事に妊娠が継続し、安定期に入りました。幼稚園児のママとして、慌ただしい毎日を送りつつ、ときおり感じるお腹の赤ちゃんの小さな胎動に癒されています。
この先しばらくは私の母がそうであったように、家にいて、子どもたちの成長を日々しっかりと見届けていきたいと思っています。
独身の頃は仕事が大好き、仕事をしている自分が大好きで、毎日がとても充実していました。
でもそれは仕事そのものというより、「社会とつながっていられること」「様々なバックグラウンドを持つ人たちと触れ合えること」に喜びを見出していたからかもしれません。
そういった意味では、専業ママであっても周囲と関わりを持つことは可能です。
今後は、子育てだけでなく、私自身が経験し克服してきた産後うつのこと、医原性の早発閉経(過去の化学療法や放射線治療の影響で早発閉経を発症すること)について学びを深めていけたらいいなと思っています。
1人で不妊と向き合っている方へ
「赤ちゃんが欲しい」という思いは、パートナーも同じであるはずなのに、妊活にはあまり協力してくれない。
1人で不安に押しつぶされそうになっている方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
「自分は赤ちゃんが欲しいけれど、そもそもパートナーは欲しがっているのかわからない」という方も含めると、多くの女性が人知れず悩み、涙していらっしゃると思います。
そんな方たちへお伝えしたいのは、決して1人で悩まないでほしいということ。
赤ちゃんは2人の間に産まれてくるのですから、パートナーとしっかり手を携えて取り組むのがベストなのは確かです。
その為には、時にケンカになってしまっても、率直に思いを打ち明け合って、何度でも話し合ってほしいと思います。
でも、もしそれでも辛さが十分に消えないのなら、ぜひ妊活友達を作ってほしい。
私は妊活をしていることを友人たちに話していましたが(「実は私もなの!」という友人が多くいました)、それが難しければ、不妊治療をされている方が集まるサイトもあります。
インターネット上でコミュニケーションが交わせる以外にも、定期的に勉強会などのイベントが開かれている場合もありますので、参加してみるのもいいと思います。
特に女性は、妊活で孤独になりがちです。
周囲とのコミュニケーションが図れる事ができれば、様々なストレスにも前向きに取り組めると、私は感じています。
この記事が、そのきっかけになれれば幸いです。