最近は「ブライダルチェック」なるものを行なっている産婦人科も多く見られますが、その詳細についてご紹介します。
ブライダルチェックとは?
ブライダルチェックとは主に結婚を控えた女性を対象にした婦人科検診のことで、 妊娠や出産に影響を与える疾患の有無を、結婚前にあらかじめチェックすることを目的にしている検査一式のことです。
内容はクリニックによって違いますが、血液検査(貧血検査)やおりもの検査、 超音波による子宮と卵巣のチェック、子宮頚がん検査、性感染症検査や風疹抗体検査を主体としています。
ブライダルチェックという名前ではありますが、もちろん結婚前に限られるわけではなく、思いついたら、いつでも受けられます。
ブライダルチェックは必要?
ブライダルチェックって必要なの?という声が聞こえてきそうですが、以下の3ポイントがあることから、お勧めいたします。
・ポイント1
妊娠出産に関係する項目が1まとめで楽、ブライダルチェックでは妊娠出産に関する項目で重要なものに焦点を当てています。
医療従事者で、どの項目が必要かなどがわかっている方はいいのですが、そうでない方にはわかりにくいものです。
必要最低限がセットになっているので、受診漏れの心配がありません。
・ポイント2
はじめての産婦人科受診の足がかりに最適。健診で婦人科健診を受けられたことがある方もいらっしゃると思いますが、必須項目ではないため、婦人科初体験という方も多いはず。
妊娠に不安があっても、産婦人科でどのようにその不安を伝えるかは難しいですよね。
ブライダルチェックを受け、その結果を聞きながら妊娠の不安をお話しすると、医師も結果を見ながら説明し易いですし、更に必要な検査などへつなげていくことも簡単になります。
・ポイント3
風疹抗体検査がある。近年妊婦さんへの注意でよく話題になるのが、風疹です。
2012~2013年にかけて、風疹ワクチンの未接種者を中心に大流行が起きました。
風疹はウイルス性の疾患で、妊娠10週までに妊婦が風疹ウイルスに初感染すると、90%の胎児に様々な影響を及ぼすといわれ、 先天性風疹症候群といわれています。
典型的な三大症状は、心奇形・難聴・白内障です。11 – 16週までの感染では10 – 20%、妊娠20週以降の感染で発生することはまれとされています。
風疹ワクチンの接種
日本での風疹ワクチン接種は、当初は女子のみに限定されていた為に、男子が対象ではありませんでしたが、 男女の接種を可能にした際に、予防接種の対象年齢を、中学生から満1歳以上7歳半未満に変更した際に、中学生に対する経過措置が設けられました。
しかし、それまでの集団接種から個別接種となったことや、MMRワクチン接種による重度健康被害の多発により、 予防接種の安全性が揺らぎ、予防接種控えの現象が起きたことにより、予防接種率が低迷した時代が存在しました。
以上のことから、
●昭和37年4月2日~54年4月1日生まれ
この中での男性は特に注意です。
●昭和54年4月2日~62年10月1日生まれ
こちらの人は、男女とも要注意です。
●昭和62年10月2日~平成2年4月1日生まれ
こちらの人は、男女とも要確認です。
男女ともに幼児期に接種する機会があり、接種率は比較的高かったものの、受けていない人や1回の接種だけでは抗体が不十分な人もいて、こうした20~40代の間で感染が広がったと考えられています。
この年代に当たっておらず、過去に一度予防接種を受けたことがあっても、時間の経過にともなって「抗体」が減少することがあり、感染する可能性もある為、注意が必要と言えます。
一度でも風疹にかかると
一度風疹にかかった人は、多くの場合、生涯風疹にかかることはないといわれていますが、子どものころ風疹にかかった記憶があるという方の中には、 実際には「はしか」や「リンゴ病」など別の病気だったのを本人や親が勘違いしているケースも少なくありません。
ある専門家が風疹にかかったことがあると答えた人の血液検査をしたところ、約半数が実際には風疹ではなかった、という調査結果があります。
以前は医師が症状だけで風疹と診断するケースもあったため、診断が間違っていたこともあり得るのです。
ですから、妊娠を考える前に是非検査を受けて下さい。
もしも、風疹ワクチンの接種が必要と判断された場合は2ヶ月間の避妊が必要になりますので、是非お早めに。
そして、これに関しては女性だけでなく、男性側も受けるべきです。
定期的に行なっている項目(子宮頸がん検診、血液検査)があれば、その項目だけ除外して、それ以外の項目を受けられるといいと思いますが、 産婦人科受診時はその結果も持っていかれることをお勧めします。