愛知県に住む30歳の女性が今年8月に出産しました。
至って普通の出来事かもしれませんが、その裏には大変珍しいことが起きていました。実は・・・
高校時代にガンが発覚
高校2年生の時、生殖機能を失う前に卵子を凍結保存していたのです。。そもそも卵子を10年以上保存した上で出産まで至ったのは大変珍しいケース。
女性の卵子凍結に関わったのは東京都新宿区にある桑山正成リプロサポートメディカルリサーチセンター。
所長によると、高校一年の時に血液がんの悪性リンパ腫を発症していた為、抗がん剤治療が必要だったとの事。
抗がん剤治療を行うにあたっては、生殖機能を失い不妊になる可能性もあるそうです。
卵子の凍結保存を提案
高校2年生になった女性は、2001年に同じく新宿区にある不妊治療施設「加藤レディスクリニック」にて卵子を2個採取して、その卵子を凍結保存しました。
その後、悪性リンパ腫は抗がん剤治療などによって克服。
それから12年の月日が経ち、2013年に女性は結婚しました。
解凍した卵子2個と夫の精子で体外受精を行い、子宮に戻した受精卵1個で妊娠。2014年8月には、3295グラムの男児を出産しました。
凍結保存に関しては従来、若年女性のがん患者が放射線治療や化学療法による生殖細胞への負担や影響を回避するために試みられたものですが、そこから回避するためだけでなく、パートナーがいない女性が将来の妊娠のために凍結保存するケースも増えています。
ちなみに採取された卵子がどのようになるかというと、まず卵子はマイナス196℃の世界で凍結保存されます。そこから妊娠が可能な時期、妊娠を希望する時期に沿って体外受精を行います。
体外受精後に子宮に戻します
子宮に戻されてから妊娠するのか?という点が気になるかと思いますが、そこで出生率を見てましょう。
体外受精の出生率に関してですが、30代から低下を始めて、36歳ごろから加速していくようです。
36歳⇒16.8%
40歳⇒8.1%
42歳⇒5%
45歳⇒1%以下
このように年齢によって低下していくので、卵子を凍結保存するといってもこれらの数字を参考に、どの時期・タイミングで凍結保存するかはしっかり考えなければいけません。
ちなみに2014年にニューヨークタイムズが報道した内容では、最新の瞬間冷凍プロセスを行った場合でも新生児出生の失敗率は30歳女性で77%、40歳女性で91%となっています。
もし卵子の凍結保存を考えている女性は、こういった事実もしっかり確認しながらじっくり検討していきたいところですね。