不妊治療のクリニックでは毎回ホルモン値を検査するところも多く、ホルモン値が治療の重要なものさしとなります。
このホルモン値、月経周期に合わせて大きく変化するため、わたしは自分の値が良いのか悪いのかさっぱりわかりませんでした。
ホルモン値を知ることで自分の今の体の状態を知ることができます。そこで、今回は月経周期とホルモン値について調べてみました。
1.妊娠の仕組み
わたしたちの卵巣の中には卵胞という卵子の元となる細胞があります。
この卵胞の中のひとつが成熟し、ある程度の大きさになると卵巣の壁を破って外に飛び出します。これが排卵です。
卵子の寿命はおよそ24時間です。卵巣から飛び出た卵胞は、卵管采から卵管に入ります。卵管で精子と出会い受精すると受精卵となります。
精子の寿命は約3~5日なので、卵子と精子がタイミングよく出会うことが大切です。受精卵は卵管で細胞分裂を繰り返しながら移動し、子宮で着床します。
受精から着床までは約7~10日かかります。
このとき受精卵が子宮外で着床するのが子宮外妊娠です。妊娠が成立しなかった場合は、子宮内膜がはがれ月経がおとずれます。
健康で若い男女が排卵日に合わせて性交したとしても妊娠の確率は約20~25%と言われており、妊娠というのはとても特別な出来事だということがわかります。
妊娠にはいくつもの女性ホルモンが関わってきます。次に女性ホルモンについて調べてみました。
2.女性ホルモンとは
エストロゲン(卵胞ホルモン)
エストロゲンは美人ホルモンとも言われ、女性らしい体をつくるホルモンです。子宮に作用し、子宮内膜を厚くさせる働きがあります。
20代で分泌がピークになり、30代から減少し始め、40~50代で急速に減ってしまいます。ホルモン検査ではエストロゲンに含まれる成分のエストラジオール(E2)を測ります。
日本産科婦人科学会では周期を問わず30pg/mL以上あれば卵巣機能はあると判断されるとしています。
FSH(卵胞刺激ホルモン)
脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンで、卵巣の卵胞を成熟させエストロゲンの分泌を促進させ、卵胞を育てることに関わってきます。
卵巣年齢が若いと少量のFSHの刺激で卵胞が育ち成熟しますが、卵巣の反応性が低いと大量の卵胞を成熟させるのに大量のFSHが必要になります。
つまり、閉経が近づくにつれてFSHの値は上がります。
不妊クリニックでは生理周期3日目頃にFSHを検査することが多く、それにより卵巣の働きを知る目安となります。20~30mIU/mL以上になると閉経が近いと言われています。
LH(黄体形成ホルモン)
黄体形成ホルモンも脳下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンで、エストロゲンとプロゲステロンの分泌を促進し、卵胞を成熟させる働きをします。
LHは排卵直前になると急激に大量分泌されます。この現象をLHサージといい、排卵検査薬はを尿の中のLHの濃度を測定しています。
不妊クリニックでは、血液や尿中のLHの値と卵胞の大きさ、子宮内膜の厚さなどで排卵を予測します。
採卵・移殖周期では決まった時間に排卵させる目的でLHの代用として、「HCG」という注射を投与することがあります。HCGを使うとおよそ36時間後に排卵がおきます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
プロゲステロンは、排卵直後から卵巣でつくられる女性ホルモンで、排卵後の卵胞が黄体化することによって分泌されます。
プロゲステロンは子宮内膜を厚くさせ受精卵が着床しやすい状態にするため、「妊娠を助けるホルモン」とも言われます。
着床前の子宮内膜は10mm程度あることが理想だと言われています。
またプロゲステロンは基礎体温の上昇、妊娠の維持作用、乳腺の発育作用もあります。妊娠後には赤ちゃんと子宮をつなげる胎盤からも分泌されます。
黄体期にはプロゲステロンとエストロゲンの分泌量が入れ替わりますが、このバランスがうまくいっていなかったり、プロゲステロンの分泌量が多すぎたりすると感情が不安定になったり、肌荒れや便秘を引き起こします。
これが月経前1~2週間前から始まる月経前症候群(PMS)です。プロゲステロンは多ければいいというものではなく、エストロゲンとのバランスがとれているかどうかが大切です。
引用元:http://www.ivf.co.jp/pregnancy1.html
女性ホルモンの役割がわかったところで、次に月経周期と女性ホルモンの関わり、各周期におけるホルモン値について調べてみました。
なお、ホルモンの基準値については病院により多少異なります。
3.月経周期と女性ホルモンの関係
卵胞期
月経が始まってから排卵までの時期をいいます。卵胞期ではエストロゲンの作用によって子宮内膜が厚くなり、受精卵を迎えるための「ベッド作り」が始まります。
卵巣の中には複数の卵胞が入っていて、月経が始まる頃からFSHの働きにより、複数ある卵胞の中からひとつの卵胞が成熟しはじめます。
この選ばれた卵胞を主席卵胞といいます。卵胞期にはエストロゲン(E2)とFSHの値は上昇していきます。
低温期を示します。
【各ホルモンの基準値】
LH(mIU/mL):1.2 ~13.3
FSH(mIU/mL):2.2~11.5
E2(pg/mL):19.5~144.2
P4(ng/mL):1.2以下
排卵期
主席卵胞が十分に成熟し、エストロゲンの分泌がピークに達すると、LHサージが起こり卵胞から卵子が飛び出し排卵します。排卵時の主席卵胞の大きさは2センチほどです。
排卵はLHサージの開始からおおよそ34~38時間後、排卵はLHサージのピークからおおよそ10~12時間後に起こります。
低温期から高温期になる境目。体温がぐっと下がる。
【各ホルモンの基準値】
LH(mIU/mL):1.3~55.7
FSH(mIU/mL):2.1~18.6
E2(pg/mL):63.9~356.7
P4(ng/mL):0.3~10.4
黄体期
排卵後、月経が始まるまでの時期をいいます。
卵巣では、卵子を放出した後の卵胞が黄体に変化します。黄体からは黄体ホルモンが形成され、子宮内膜を厚く柔らかくし着床しやすい状態に変化します。
黄体期のプロゲステロン(P4)が低い場合は黄体機能不全の疑いがあります。
黄体期には妊娠を維持させやすくする目的で、黄体ホルモン補充の薬(デュファストン、プロゲステロンなど)が使われることがあります。
妊娠が成立しなかった場合、黄体は萎縮し子宮内膜が剥がれ落ち出血します。これが月経です。月経が起こると、プロゲステロン・エストロゲンの分泌は低下します。
高温期に入る。低温期から高温期への移行は1~2日が理想。
【各ホルモンの基準値】
LH(mIU/mL):0.5~16.5
FSH(mIU/mL):1.1~10.6
E2(pg/mL):55.8~214.2
P4(ng/mL):1.4~20.6(妊娠後はさらに上昇)
妊娠しやすい体をつくるには、女性ホルモンが大切なことがわかりました。それでは、女性ホルモンを増やすにはどうすればよいのでしょうか?
4.エストロゲンを増やす方法
食生活を見直す
イソフラボンを含む大豆製品、コレステロールを含む玉子、ビタミンEを多く含むアーモンド、モロヘイヤ、かぼちゃ、アボガドなどがよいと言われています。
食事はバランスよく!が基本です。
冷えをとる
半身浴や腹巻き・冷えとり靴下の着用などをしている方が多いようです。つぼや適度な運動も冷え改善にはいいですね。
十分な睡眠をとる
睡眠不足が続くと脳が疲労し、正常なホルモンのコントロールが出来なくなります。女性ホルモンの分泌には成長ホルモンが関わっていることが知られています。
成長ホルモンは22時~2時のあいだに分泌されるので、この時間に良質な睡眠をとることが大切です。
骨盤周りのストレッチ
骨盤周りのストレッチをすることで、子宮・卵巣の血流がよくなります。通っていた鍼灸院でも子宮周りをラジオ波であたためる治療をしていました。
そういえば、40歳で自然妊娠・出産した友達はベリーダンスをやっていましたので、これも関係していたのかなぁなんて思います。
喫煙
たばこによりエストロゲンの生産が低下するだけでなく、エストロゲンの分解も早まることがわかっています。喫煙されている方はいますぐに禁煙しましょう。
恋をする
恋をすると肌がきれいになったり、女性らしさが出たりしますよね。これがエストロゲンの効果です。愛のあるセックスでもエストロゲンは出るらしいです。
妊活には夫婦円満は大切ですね。
5.さいごに
調べてみると、女性のからだ・妊娠は精巧な仕組みで成り立っていることがわかりました。
最近はおしゃれをしたり、旦那さんにドキドキすることが少なかったかもと、ドキリとする点もありました。
不妊クリニックに通うと、ホルモン検査の結果に一喜一憂することもあると思いますが、ストレスも不妊の大敵!おおらかな気持ちで取り組みたいと思います。