不妊治療をしていると、”ルトラール”という薬を処方されることがあります。
このルトラールを服用している方では、”生理が遅れる、来ない”方もいらっしゃいます。
ここでは、ルトラールの概要や生理との関係などについてご説明していきます。
妊娠を希望している方の参考になれば幸いです。
ルトラールとは?
ルトラールとは、女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)と同じ働きをする成分配合がされた薬です。
体内で分泌される「天然のプロゲステロンと同様の作用」があります。
プロゲステロンは排卵後から生理前(=高温期)までに多く分泌されるホルモンです。
つまり、プロゲステロンは、
・基礎体温を上げる
・子宮内膜を厚くさせる
・受精卵を着床、発育しやすくする
・乳腺を発達させるというものがあり、いずれも妊娠に向けて分泌されている
という役割があります。
妊娠する上で、必要不可欠な女性ホルモンと言えるでしょう。
次に、ルトラールが処方されるのは身体がどんな状態の時なのかについて調べました。
主な目的としては、
・生理不順
・基礎体温が低い
という状態で処方されるケースが多くあります。
また、排卵確認後の血液検査などで、プロゲステロンの分泌量が少ない場合にも服用を求められることがあります。
ただし、上記のいずれに該当していなくても、受精卵の着床や発育目的のために処方されることもありますので、「妊娠の手助け」という側面もあります。
排卵後に服用することで妊娠しやすい環境が整えられる、ということですね。
それでは、「ルトラールを服用していて生理予定日になっても生理が遅れている、生理が来ない」というケースについてご説明します。
生理が遅れるケース
ルトラールを一言でまとめると、「高温期の状態を維持できる薬」となります。
本来、女性の月経周期の中で高温期は長くても14日、それを過ぎると生理がやってきます。
ところが、ルトラールを服用している期間は、高温期に分泌されるプロゲステロンと同じ働きが体内で起こっているので、飲み続けている限りいつまでも高温期の状態が維持されるということ(=服用中は生理が来ない)です。
医師が処方するルトラールの量は、婦人科やクリニックにもよりますが、10~15日分というところがほとんどです。
ただし、ルトラールそのものは合成のプロゲステロンですので、妊娠検査薬が反応することはありません。
服用中に陽性が出た場合は、妊娠の可能性が高いと言えます。
また、ルトラールの服用をやめても高温期が続くという場合でも、妊娠であることが想定できるでしょう。
ルトラールの注意点
ルトラールは他の薬との飲み合わせに注意しなければなりません。
特に重篤な肝障害や肝疾患のある患者さまは、それらを悪化させる可能性があります。他にも心疾患、腎疾患、糖尿病と言った病歴がある方も注意が必要です。
今は完治していても、病歴があるということもきちんと伝えましょう。
また、飲み合わせる薬によってはその働きが低下したり、逆に強すぎてしまうことも。
すでに別の薬を服用中の方は、医師にご相談のうえ、服用をするようにしてください。
副作用
ほとんどの方が、ルトラールの服用で副作用を感じるそうです。
多くみられる症状としては、
・吐き気
・乳房の張り
・下痢
・頭痛
・イライラ
・目が見えにくくなる
・むくみ
・体重が増える
・だるさ
などとなっており、特に吐き気を感じる方が非常に多いです。
ルトラールの服用中は、通常よりも体内の女性ホルモンバランスが急激に変化するため、その影響でさまざまな症状が現れるというのが、一般的な見解となります。
ルトラールの飲み忘れに注意
薬を普段飲む習慣がない方は、うっかりルトラールを飲み忘れてしまうことがあるかもしれません。
実はルトラールは継続的に服用することで持続的な効果が発揮される薬です。
そのため、飲み忘れには注意する必要があります。
一般的にルトラールは、1日に1錠~6錠を、1~3回に分けて飲み、これを1週間~10日間ほど続けます。
この用法、用量を守って正しく飲むことが大前提ですが、以下のような飲み忘れをしてしまう場合があります。
●飲み始める日を1日忘れる
●服用中、1日のうち飲むことを1回だけ忘れた
飲み始める日が1日遅れても、問題はありません。
また、服用時間からそれほど経過していない時も、服用して良いでしょう。
ただし、時間がだいぶ経ってしまった場合、飲み忘れた分は計算せずに、次の服用時間まで待つようにして下さい。
一回で用量を超えて服用するのは危険なので避けましょう。
「絶対に服用することを忘れないようにしないと、妊娠しにくくなる」という思いで、強迫観念のように飲み忘れを恐れる方が多いのが、ルトラールの特徴だと言われています。
ですが、ご安心ください。
たった一度の服用を忘れてしまったからと言って、即座に基礎体温に悪い影響が出るわけでも高温期が終了するわけでもありません。
もちろん何日も飲み忘れるというのは妊娠のチャンスを逃していると言えますが、たった一回の飲み忘れを気にする必要はないのです。」
まとめ
このように、ルトラールは妊娠を助ける強い味方である一方、副作用などの症状に苦しむ方も多くいらっしゃいます。
服用期間も一回の周期で最短1週間~10日と、決して短くありません。
ただ、検査結果からプロゲステロンの分泌量が少ない方は、ルトラールを飛ばして「hCG注射」を毎日打ちに病院に行かなければならないケースもあります。
そのため、「まずはルトラールから始めてみましょう」と医師から提案がある場合は、薬の服用だけで妊娠の可能性があるという希望をもち、前向きに取り組んでいきましょう。
不妊治療に不安がある方は、専門家の情報を知ることで、より深く理解を深めることができます。
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