母乳で育てたくても、「母乳が出ない」「もしかして母乳が不足している?」という不安を抱えているママたちは、全体の半数ほどになります。
母乳が出るかどうかは、遺伝的な体質や体調、食事と水分量、睡眠、ストレスなど、たくさんの原因が複雑に関係してきます。
目次
母乳が出ないママが増えている現実
ミルクだけで育てるママは、昭和60年と平成17年で比較すると、7%も減っています。
逆に、母乳とミルクの混合にする方が増えていて、母乳育児に対する意識は高まっている状況です。
赤ちゃんへの栄養、コミュニケーションなど、母乳の良さが広く周知されてきた結果ですが、その反面、「母乳が出ないとママ失格」、「母乳不足で、十分な栄養をあげられてないのではないか」と、不安を抱えるママが増えている事も挙げられます。
特に、赤ちゃんの食欲が増す「生後4か月頃」から母乳不足を感じるママが多く、その割合は以下の通りとなっています。
●母乳が不足気味→32.5%
●母乳が出ない→15.6%
●外出の際に母乳する場所がない→14.9%
出典:厚生労働省「平成17年度乳幼児栄養調査」より
多くのママは、母乳不足が原因で、満足した母乳育児を続けられていない事になります。
母乳育児がラクになる5つのポイント
ここで、ラクに母乳が出るポイントを、5つご紹介します。
2) 1日3リットルの水分を摂る
3) よく眠る
4) 体を温める
5) リラックス
母乳に良い食べ物を知る
母乳は、母体の血液から作られている為、普段よりも食事に気をつける必要があります。
以下のことを実践すれば、母乳が出るだけでなく、赤ちゃんがゴクゴク飲んでくれるような身体作りができます。
○美味しい母乳と美味しくない母乳
美味しい母乳は、あっさりとした甘みがあり、美味しくない母乳は、油っぽくて、時には塩辛く苦いこともあります。
例えば血液検査で、高血糖、コレステロールが高めというような状態ですと、それをそのまま赤ちゃんに飲ませてしまうことになります。
また、美味しい、美味しくないは別として、1日3回の食事がカレーという、インド人のママの母乳は、カレー風味となっています。母乳は、食べたもので味が変わるのです。
○美味しい母乳をつくる食べ物
一般的には、伝統的な日本食がよいと言われています。
いくつかリストアップしてご紹介します。
野菜
野菜は、甘くて美味しい母乳を作ってくれます。グリーンの野菜は体をアルカリに傾けるので、ママの疲労回復にも良いです。
果物
果物は、糖の中でも果糖と呼ばれる種類で、摂取しても血糖値が上がらない食べ物です。
また、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルを含んでいるので、授乳中においては、適度に摂取する事をおすすめします。
ただし、食べ過ぎはコレステロールの合成を促進させるので、肥満リスクが高まるので注意しましょう。
豆類
脂質と炭水化物が少ない、インゲン豆系をおすすめしています。
小豆、金時豆、うずら豆、ブラックビーンズ(インゲン)などです。
小豆(アズキ)は豆類の脂質が非常に少なく、カロリーも少ない優れた豆です。小豆の茹で汁は、ファイトケミカルなどの栄養が流れ出しているので、捨てずに摂取する方が良いでしょう。
○美味くない母乳をつくる食べ物
母乳が美味しくなくなったり、出にくくなってしまう食品は、「スパイスや香辛料の強いお料理」「揚げ物」「脂質の多い肉類」「乳製品」「トランス脂肪酸」です。
スパイスや香辛料の強いお料理
カレーを食べると、カレー風味の母乳になります。
授乳中は、一般的に小さな子供が苦手な香辛料は避けましょう。
担々麺、キムチ、激辛のお料理などです。
揚げ物
揚げ物は授乳中のママだけでなく、誰にでもオススメではありません。
酸化した油は体を酸化させ、エネルギーを奪います。油の処理は肝臓で行うため、肝臓に負担がかかる事と、細胞膜にダメージを与える為、老化や病気の原因となっていきます。
脂質の多い肉類
脂身の多い肉類を食べると、母乳が黄色っぽくドロっとするといわれています。母乳不足や出にくくなることを避けるためにも、お肉は脂身を避ける方が無難です。
牛肉や豚肉よりは、鶏肉を選び、油で焼くよりは、煮物や湯通ししたものにしましょう。
また、タンパク質を消化するとその副産物として、アンモニアなどの有害物質が出てきます。
アンモニアは肝臓で代謝されて尿として排出されるのですが、これがうまくいかないと血液に混ざることがあります。つまり、赤ちゃんにとっても美味しくない母乳となります。
乳製品
授乳中での、バター、ミルク、生クリーム、チーズなどの乳製品は、痛みや発熱を起こす乳腺炎の原因にもなります。普段、乳腺が詰まることもなくスムーズに授乳している方でも、痛い思いをすることがあります。
トランス脂肪酸
市販のスナック菓子などには、トランス脂肪酸が使われている可能性があります。
トランス脂肪酸は、油に水素添加して人工的に作られた常温で個体の油で、マーガリンやショートニングに代表されます。
アメリカやカナダでは、トランス脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上昇させ、心疾患のリスクを高めるとして廃止する動きがあり、健康への意識が高まっています。
また、人間の脳は水分を覗くと60%は脂質でできています。活発に細胞分裂している赤ちゃんには、トランス脂肪酸よりも、質のよい脂質をあげたいですね。
◉1日3リットルの水分をとりましょう
尿や便は1日に約2ℓ排出される事と、授乳のために水分が必要な事から、3ℓの水分が必要です。夏場は4〜5リットルもの水分をとるのがよいと言われています。
赤ちゃんは、食欲にもよりますが、1日1リットルくらいの母乳を飲みます。
「母乳が出ないな、不足ぎみかな?」と思ったら、まず水分不足を疑ってみてください。それだけで簡単に解決することもあります。
授乳育児にオススメの飲み物
意外と水だけを飲むのは難しく、たくさんは飲めないことがあります。
そんな時、カフェインの入っていないハーブティや、母乳が出なかったり不足しているママのために開発されたお茶がオススメです。
母乳不足の対策として開発された、有名なお茶をご紹介します。
- ■「母なるおめぐみ」
日本の伝統食である小豆のポリフェノール、ミネラルが血行をよくし、母乳不足を解消します。ハーブティで改善しない方でも、良い結果を感じている方が多いようです。ほんのり甘く、飲みやすいことも続けられる秘訣ですね。
■アモアの「ミルクアップブレンド」
英国ハーバリストと授乳ケアの専門家が共同で開発した母乳サポートティです。フェンネル、フェヌグリーク、タンポポ、レモンバーベナ他、ハーブのミックスです。
■ティーライフの「たんぽぽ茶」
タンポポの根、酵素ギネンマム、黒豆などを主成分としたお茶です。タンポポの根で血行改善を促してくれます。
母乳が出やすくなる水分のとり方
一度にたくさん飲まないように、いつも手元に置いて少しずつ飲むようにしましょう。特に授乳前と授乳後に飲むと、母乳の出がよくなります。
胃酸を薄めてしまう「食事中の水分補給」は極力避けましょう。消化によくありません。
水分をたくさん摂ると痩せない、むくみを感じるという方は、お食事の塩分が多すぎないかをチェックしてみてくださいね。
母乳を生産するホルモンの分泌は「睡眠」にあり
母乳育児は睡眠との戦いかも知れませんが、出来るだけ周りのことは気にせず、赤ちゃんと一緒に眠ることを心がけましょう。
睡眠不足や過労が続くと、母乳を生産するプロラクチンというホルモンの分泌が悪くなります。
また、夜の母乳には睡眠を誘うメラトニンが含まれているので、これを飲むと赤ちゃんはよく眠れます。
◉体を温めて血行を良くする
母乳は血液なので、体を温めて血のめぐりを良くすることはとても重要です。
お風呂にゆっくり浸かる時間がない方は、暖かいお茶を飲む、冷たいものや甘いものを食べて体を冷やさないなど、できる範囲で工夫していきましょう。
運動においては、赤ちゃんと一緒にヨガクラスに参加するなど、ちょっとした息抜きで行うのも1つの手です。そこでママ友とおしゃべりをするだけでも、いい気分転換になります。
天気がよければ、お散歩するだけでもよい運動になるでしょう。
ほか、母乳が出にくいときは胸のマッサージも効果的です。
両手で胸を下から上に持ち上げるようにしたり、指で乳房から乳首に向かって押し出すようにマッサージすると母乳が出やすくなります。
◉リラックスしましょう
母乳育児でいちばん大事なのは、ママがリラックスしてハッピーでいることです。
赤ちゃんに必要なのは、完璧なママではなく、抱っこして優しい言葉をかけてくれて、お腹が空いたらおっぱいをくれて、その隣でぐっすり眠ること。
完全母乳は理想ですが、現代は優れた栄養の粉ミルクがたくさんあるので深刻になりすぎる必要はありません。
ネットに溢れる育児情報で、少々お疲れ気味かも知れません。
神経質になりすぎず、「そんな考えもあるのね」という理解に留めて、気に入ったこと、すぐにできそうなところからトライしていきましょう。